マンガアシの教科書

22歳でアシスタントとして漫画業界入りし、プロ漫画家になったはいいけどヒット作無しで30年経過した男の告白ブログ/Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です

アナログアシ時代の思い出 その12「先生の結婚」


僕の漫画業界の入口となったロイホ先生(仮名)の仕事場のお話。

当時、先生は33歳くらいで、僕は22歳くらいだったと思います。


今回は、

「こんな仕事場、もう嫌だ!」
と思ったキッカケの一つとなった事件について。

 

前にも書いたけど、
先生は、結婚して、静岡に引っ越すことになりました。

 

担当編集者さん同様、僕らアシスタントも、
先のことが不安でした。

「僕らはどうなるんだろう?」

と毎日話し合ってました。

 

ある日、先のことを話し合うために
仕事場近くのファミレスに全員が集められました。

 

そこで何が語られるのか、
僕は、先生が言ってくることを予想して、
予想問題集じゃないけど、
その話し合いの準備をしていました。

 

まず、先生から告げられると予想されること。

1、結婚することになった。
2、静岡に新居を建てて引っ越すことになった。
3、向こうで漫画を描き続けるから、
  継続してアシスタントをやってもらえないだろうか。

 

アシは全員東京住みなので、
その辺、通いなのか、泊まりなのか、
どうするつもりなのか、わかりませんでした。

 

まさか、俺らも静岡に引っ越してくれとまでは言わんだろうな…

とか、頭の中では憶測と不安がぐるぐる回ってる状態でした。


でも、先生がアシの通勤をどうするつもりなのか、
僕には関係なかったのです。

僕は、こう答えるつもりでした。

「辞めさせていただきます」

 


すでに僕は、ロイホ先生の仕事場を辞めたいと思っていたので、

引っ越すと聴いたときに、そろそろ潮時だなと思ったんです。

 

で、話し合い当日

某ファミレス。

先生は、

結婚すること

静岡に新居を建てたので引っ越すことを

僕らに告げました。


さあ、この後、

「アシスタントとしてついて来てくれ」

とお願いしてくるはずだ。

さあ来い!と身構えていると…

 


「な~んにもないところなんだよな~」

ん?


「一番近くのコンビニまで車で10分くらい」

は?


新居周辺の説明…

「東京から新幹線で、3時間くらいだからなあ、
近いよな~」


お?


車を持っていたアゴくんが質問。

「あ、俺、車で高速使って行ってもいっすか?」

「おーいいよーいいよー。高速代だすから」


へ?


「え…、お願いは…?」


僕は、なんかすごく断りづらい雰囲気の中で、

動けなくなってました。

僕は、若かった…!


お願いされてないのに、……断れない…!!


ロイホ先生、伝票をつかみサッと席を立ちました。

それに続くキャップさんとアゴくん。


先生みたいな人を話し合い巧者と呼ぶのだろうか…。


僕は、若く、そして、ダメな男でした!!


けっきょく僕は、

その後10カ月くらいの間、

月に2回、新幹線で静岡まで通うことになったのでした。

もちろん交通費は支給。
行ったら、3泊4日くらい。
駅までは奥さんが車で送迎。
食事は奥さんの手料理。
夜は、ビール飲み放題。
給料も、かなりアップ。


と、待遇はすばらしかったので、
結果オーライ、ま、いっか!

という事でした。


この静岡の仕事場で、

夜、仕事が終わったあと
一人でシコシコ描いていた作品が、
賞金100万円のとある大きな賞

いただくことになるのでした。

 

つづく…


アナログアシ時代の思い出 その12

 

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