アナログアシ時代の思い出 その9

ロイホ先生(仮名)が骨折している間、

先生の担当編集者さんに紹介してもらったのが、

以前、同じ雑誌に短期集中連載で漫画を描いたことのある

シティ先生(仮名)だった。

 

その日は、シティ先生の初日。

まだ先生にもお会いしたことはなかった。

シティ先生の仕事場のある最寄り駅に到着した僕は、

ひどい下痢に苦しんでいた。

 

僕は、予備校のころから、

アルバイトも含めて、新しい職場に移ると、

決まって高熱を出したり、お腹を下したりする癖があるのだ。

その日も、

「ああ、いつものヤツだ…」

とか思いながら、

「もうヤバイ…、シティ先生の仕事場に到着したら、
失礼ではあるが、速攻でトイレに行かせてもらおう」

と考えていた。


電話では、最寄駅まで、

チーフアシスタントの人が迎えにきてくれるという事だった。

迎えにきてくれたその人は、年齢は僕と同じくらいで、

僕より小柄、猫背で黒ぶちのメガネをかけた関西なまりの強い人だった。

ここでは、マネジさん(仮名)と呼ばせてもらう。

 

挨拶もそこそこに、僕はマネジさんに連れられて仕事場へ向かった。

頭の中は、「ウンコもれそう!」が渦巻いている。

 

早く!早く!

 

僕は、仕事場についてシティ先生に軽くご挨拶してから、

「すみません、トイレに行かせてもらってもいいですか?」
とお願いするつもりで、黙々とマネジさんの後をついていった。

 

ところが、いつまでたってもたどり着かない。

車も通れないような小道を通ったり、

児童公園を突っ切ったり、かなり複雑な道順で、

駅まで帰るときに、

迷わないだろうかと心配になるほどであった。


そんなことよりもウンコである。

もうそろそろ限界が近づいてきた。

いまスナイパーに脳天を撃ち抜かれたら

倒れる前にウンコが肛門から噴出するという状態であった。


突然、いままで無口だったマネジさんが口を開いた。

 

「いや~、ホントは駅のすぐ近くだったんですけどねぇ、

すぐ案内したんでは面白みがないので、

わざといろんなところをぐるぐる遠回りしてみましたぐふふ…」


「コ、コイツ…!!」(-""-;) 

 

僕は、軽い殺意をおぼえたが、

感情を殺しながら

「すいません…さっきから、お腹が痛くて…。
ちょっと早くトイレに行きたいんですが…」

と告げた。

 

さすがにマネジさんは顔色を変えて、

「えっ、あ…すいません。そしたら急ぎましょうね!」

と早足で歩き始めました。

 

それから、

何とかギリギリでシティ先生の仕事場に到着し、

事なきを得たというお話でした。


まあ、何とかなるもんですよね!

なんて…何とか締め切りに間に合った漫画家みたいなセリフですが。

 

つづく…


アナログアシ時代の思い出 その9 おわり

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