マンガアシの教科書

22歳でアシスタントとして漫画業界入りし、プロ漫画家になったはいいけどヒット作無しで30年経過した男の告白ブログ/Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です

アナログアシ時代の思い出 その11「先生がアシの手伝いをする」

 

僕が最初にアシとして師事したロイホ先生(仮名)のお話です。


以前にも書いたけど、
ロイホ先生、原稿がいつも締め切りぎりぎりでした。

いつも
担当編集者さんが先生のマンションまで原稿を取りに来るんだけど、
担当さんが来ても、まだ原稿できてなくて、
数時間くらい待ってもらうこともザラでした。

 

 

■漫画の原稿の進め方

先生がネームを完成させる。

  ※ネーム=漫画の設計図。
       コマ割りとセリフが簡単な線で書いてるもの。


アシ来る。
先生、キャラの下描き→ペン入れを進めている。

アシは、キャラがいなくてフキダシだけだったり
フキダシすらなくて全部背景!みたいなコマから先に
絵を入れていく。

その間に先生のキャラにペンが入っていく。

ペン入れが終わった先生のキャラの背景をアシが入れていく。

先生のキャラに全部ペンが入る。

あとは、背景&仕上げ作業。

出来上がりを先生がチェックして、
修正や加筆を行って完成! 

となります。

 

ある日のこと、
先生のキャラのペンが最終ページまで全部終わって、
あとはアシが頑張って急いで背景を入れて仕上げをするだけという
段階に入りました。

ダイニングキッチンのテーブルには、
原稿を取りに来た担当編集者さん
時計をチラチラ見ながら貧乏ゆすりしています。


その時、

ロイホ先生、自分の仕事は終わったと思ったのか
徹夜のときのアシが仮眠をとるための寝室に行って、
ドラクエをやり始めたのでした。

当時、ドラクエの時代だったかな?

先生は、担当編集者さんに

「ちょっとだけ、一瞬やっていい?」

と満面の笑みで聴きました。

 

担当さんも、先生がドラクエ

どハマりしてるの知ってたし、
やっぱ人気ナンバーワン漫画家の先生ですから、

強くは言えず…黙認…みたいな。


アシ3人は、

「とにかく急げ~~~~ッ!」

って感じで汗かきながら頑張ってました。

 

20分くらいたった頃でしょうか。

さすがにしびれを切らした担当さんが、

アシ用寝室のドアを開けて

ロイホ先生~、勘弁してくださいよ~」

と一言。


するとロイホ先生がこう発言したのでした。

「しょうがねぇ、手伝ってやるか!」


「え?」


僕の感覚がおかしいのでしょうか。

なんかそれって…違うんじゃないかな…って感じたんです。

僕はその時言いたかった。

「手伝っているのは、こちらの方です!」


この感覚、おかしいんですかね~?


実はね、その数年後、

別の仕事場でも同じことを発言した先生がいたんです。

「アシの仕事、手伝ってやるか」


その時ぼく、言い返してしまいましたけどね。

「いや、逆です。

あなたの原稿を僕らが手伝ってるんですよ」

って。

けっこう…空気が凍りつきましたね…(^□^;)

 


あ…やべ…  って思いました。

 

口は災いのもと。


つづく…

 

アナログアシ時代の思い出 その11 おわり

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