マンガアシの教科書

22歳でアシスタントとして漫画業界入りし、プロ漫画家になったはいいけどヒット作無しで30年経過した男の告白ブログ/Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です

アナログアシ時代の思い出 その21「キツかった現場2/3」

 

今まででキツかったアシ現場 2/3

 

2時間たつと次の原稿が回ってくる現場


それは、確かマック先生の連載が終わって

事務所が解散になって雑多なアシの仕事やってた頃のお話。

 

1日だけの臨時アシのお仕事。

成人向け漫画の人物の肌に

スクリーントーン(※)61番を貼って、

光が当たってる部分をカッターで削るというお仕事。

61番っていうのは薄いトーンで、

人物の影によく使われるトーンですね。


電車に乗って仕事場の最寄り駅まで行くと、
先生が駅まで迎えに来てくれてました。

仕事場到着

 

先生が借りている住居兼仕事場の一戸建て。

「やってほしいのは、人物の肌に影をつける作業です」

「このトーンを使ってください。ぜんぶ61番でお願いします」

と、61番が30枚くらい詰まった箱を渡されました。

「だいたい2時間ごとに1枚上げてもらえればいいですから」


当時、つーか今も変わらんけど、

僕は、人物に影をつけるのがどのくらい時間かかるのか

気にしたことがありませんでした。

 

マック先生のところで3年半、
ほぼキレイなお姉ちゃんの脚とか体に影をつける作業をしていたので、
慣れた作業と言えば慣れていたんですが、
問題は時間でした。

 

「ま、何とかなるだろう!2時間もあるし」

と始めたトーン削り作業でしたが、
1ページ4コマ~5コマ。

そのすべてにハダカの女性が描かれています。

 

最初の2時間経過。

 

最初の1ページが終わらない!

「はい、じゃ次これお願いしま~す」

次が来た!

その時点で、全身から汗がブワッと出ました。

「え、これ、やばくない?」

僕が終わってなくても、

原稿は2時間ごとにどんどん渡されます。

「終わらない終わらない!」の繰り返し。

 

食事休憩。

ぐったりして、支給されたコンビニ弁当をいただきます。

そしてまた必死でトーンを削るだけの作業。


トーン削り作業の体の動きをイメージしやすいように

同じような動きに例えると、そうですね…

消しゴムをかける作業に近いでしょうか。


エンピツで真っ黒に塗り潰してある
B4の原稿用紙を、一気に消しゴムで消す作業に近いかと思います。

 

ごしごしごしごしごしごしごしごし…

 

それが12時間(途中、食事休憩2回…だったと思う)

作業時間は合計10時間くらいかな~。

全身に汗かきながら、やり切りました。


僕はけっきょく、

渡された原稿を全部できなくて

アシスタント料1万円の約束のところ 
9,000円に値下げされました。

 

それまでは、上手いとか、いい出来ですとか言われて
アシやらせてもらってたんだけど、
初めて自分の作業スピードの遅さを意識するきっかけになったお仕事でした。

 

家に帰ってから体重を測ると、

5キロ減ってました。

いや、5キロは盛ってるかな、

でも4キロは確実に減ってたと思います。

 

 

つづく…


アナログアシ時代の思い出 その21 おわり

 

このサイトについて プライバシーポリシー
Copyright ©流星光