アナログアシ時代の思い出 その5

漫画のアシスタントの失敗といえば、

よくあるのが、机の上でインク瓶を倒してしまって、

原稿の上にインクをドバーとぶちまけてしまうというやつだ。


最近は、デジタル作業が多くなったので、

そんな心配はまったくないんだけど想像してみてほしい


プロの漫画家の先生が途中まで絵を入れた原稿に

インクをぶちまけて台無しにしてしまう事を。


どうですか、想像しただけで気絶しそうになるでしょう。


わかりやすいように一般の会社だと

どのくらいの失敗であるか例えてみましょう。


例えば、会社の命運をにぎるほどの大口の取引先の社長

「ちょっと近くまで来たので寄ってみました」

と来訪し、応接室へ通されたとします。

 

そこへあなたがお盆にお茶を乗せて持って行き、

「粗茶でございます」

とお茶をテーブルに置こうとしたときに手ががくぶると震えて

熱いお茶を社長さんの左肩から腰くらいまでぶちまけてしまって、

「あちちちち!おい何をするんだ!」

と怒ってる社長を見ると、

左半身がどうやら溶けてしまっているぞ。

よく見たら自分がお茶だと思ってもってきた液体は、

濃硫酸であったとさ。

これは大事件。

 

くらい大変な失敗なのである。

 

僕も、

そんな失敗をしないよう慎重に作業を進めておったのですが、

慣れというのは怖いもので、

新人アシスタントも数カ月たつと緊張感も消え、

時間もない急げ急げ締め切りギリギリだぞと

急かされる状況下において、

僕はついにやってしまったのでした。


指先がパイロットの製図用インクの瓶にひっかかり、

瓶がカタリと横倒しになり、

中の真っ黒なインクが机の上をつーと滑り、

原稿へ向かって一直線。

狭い机の上ですから、

インク瓶から原稿までの距離は5センチほど。


一瞬の出来事で僕は身動きもできず。

しかし僕の体内では急激に血液が脳内へとなだれ込み、

一種のキゼツ状態

頭の中が真っ白状態へと突入したのでした。


気力をふりしぼって、素早く原稿を取り上げてみると、

なんと、机の上の原稿は、端っこが反りかえっていたため、

インクがすべて原稿の裏側へ吸い込まれておりました。

 

なので原稿の裏側は、イラストのように汚れてしまったのですが、

先生の絵が描かれた表側には被害はなく、なんとか…


なんっとか…事なきを得たのでした。

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いちおう先生に言いましたが、

原稿表面には被害はなかったということで、


「これからは気をつけるように」


と言われただけで済みました。


それからは、

インクは原稿と同じ地平に置いてはならぬ

というのがお約束となりましたとさ。

 つづく…

 


アナログアシ時代の思い出 その5 おわり

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