マンガアシの教科書

22歳でアシスタントとして漫画業界入りし、プロ漫画家になったはいいけどヒット作無しで30年経過した男の告白ブログ/Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です

アナログアシ時代の思い出 その4

 

僕が最初にお手伝いしたロイホ先生(仮名)のお話。


ロイホ先生は、雑誌の中で、人気ナンバーワンだったんだけど、

原稿が遅いので有名でした。

いつも締め切りギリギリになっていました。

原稿を取りに来る担当編集者さんは、
会社にもどってからやる作業を
少しでも早くやるために、
ダイニングキッチンのテーブルで、
空いている原稿に写植を貼る作業をしていました。

※写植というのは、
フキダシの中の文字のことです。
いまはデジタルでカタカタッと打って終わりですが、
昔は、「写植屋さん」にフキダシの中の文字を発注して、
打ってもらって、印刷されたものをハサミで
フキダシの中にぴったり入るように切って
ボンドで貼りつけていたのです。


僕よりあとに入ってきたプロ経験もあるアシさんが
なぜ遅いか分析していました。

 

ロイホ先生が遅い理由は、
まず人物のペン入れが1本の線でズバッと引くのではなく
2本以上の線を重ねるように引くこと。

部分によっては、僕も、そういう線を引きますが、
1本でズバッと引くときは引きます。

ロイホ先生の絵は、ほとんどすべての線において、

「シャッ、シャッ、シャッ」

と2~3本以上の線で引いていたので遅いのです。


でも、それが絵柄に反映されていて、いい絵だったんですけどね。

(フォロー)( ̄▽ ̄;) 

 

あと、ロイホ先生の漫画は、

1コマの中に2人~3人の人物がいることが多いのです。

アップのコマもあるのですが、

他の漫画家の先生に比べると、

引きのカメラで、数人が同時にいる絵を描くケースが多かったように思います。

とうぜん描くのに時間がかかります

 

で、先生があみだした時間短縮の方法がコピペでありました。


先生は、

同じキャラが同じポーズをとっている絵を

執筆中の作品の過去の単行本から探し出して、

「3巻 p121 4コマ目 の幸子 80%」

というふうに原稿のコマの外に指示を書きます。


それを見たアシは、

該当する単行本を持って、チャリでスーパーマーケットまで走ります。

当時、ロイホ先生の仕事場には、まだコピー機が導入されていませんでした。

コピーをとるには、近所のスーパーマーケットに走るしかなかったのです。


で、幸子を80%でコピーして戻ってきて、

カッターで表情だけくり抜いて、

表情以外をコマ内に貼りつけるんです。


あとは先生が表情を描き入れるだけで完成!というわけ。


だけど、過去の単行本から探すのも先生自身ですからね。

その時間を考えると…

描いた方が速いんじゃね?という意見も…


まあ、どっちもどっちですかね~。

とにかく先生は、絵を描くの面倒だったんでしょうね~。

 


僕が初めてロイホ先生の仕事場に来た時、

先輩アシさんの机の上の、透明ビニールシートの下に、

くり抜いた表情だけが、戦利品のように挟まれていました。

この画像みたいな感じですね。

f:id:hikaru_n:20180928114438j:plain


はじめて見た時は気味悪かったです。

 

何コレ!?気持ちわりぃ!!って。

 

でも結局、僕も同じように表情だけを挟むようになってしまいました。


つづく…

 

アナログアシ時代の思い出 その4 おわり

 

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