マンガアシの教科書

22歳でアシスタントとして漫画業界入りし、プロ漫画家になったはいいけどヒット作無しで30年経過した男の告白ブログ/Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です

アナログアシ時代の思い出 その13「ハンバーガーショップ」

 

今回は、漫画業界以外の友達から頼まれたお仕事の話。

 

友人の同僚の女の子が、

漫画家としてデビューしたので
ちょっと手伝ってあげて欲しいという依頼だ。

 

現在、読み切りの漫画を執筆中で
背景を描ける人を探してるという。

臨時で一回だけ手伝いに行くことになった。

※読み切り=一話完結の漫画

 

僕のほかに、

背景が描けないアシさんが二人いるらしい。

 

僕よりも若いその子の実家の最寄り駅で合流。

駅近くにある、その子の実家へと案内された。


家に見た第一印象は…

人様の住居に対して失礼だけど、

かなり狭い…。( ̄▽ ̄;)  

 

おまけにその子の部屋を見ると、
物がすごく多い。とてつもなく。
床がほぼ見えない…。
部屋の中央には、小さいコタツが置いてあるだけ。

「え、ここでアシスタントするの?
僕の他に二人いるって聞いたけど、
ここで4人の人間が作業するの?無理でしょ」

と思いました。


どうするのだろう、と待っていると

「じゃ、仕事場に行きましょうか」

 

仕事場が別にあるようだ。

少しほっとしました。


で、

向かった先が、某有名ハンバーガーショップ

そのハンバーガーショップには、

8人掛けの大きなテーブルがありました。

 

そのテーブルを占領して、

仕事場にしてしまおうという事らしいです。

4人で座って、

漫画を描く道具とかスクリーントーンとかを置くと

だいたい6席分くらいを占領してしまう感じになります。

「え…まじで?」

僕は、目を疑いました。

にわかには信じられませんでしたけど、

彼らは、当たり前のように席についていきます。

そして、道具を広げ…


だいたい準備ができたら、

カウンターへ行ってハンバーガーや珈琲を注文。

番号札を持って戻ってきました。


自己紹介。

僕以外の二人のアシさんは、男性ひとり女性ひとり。

先生の小学校からの同級生。

漫画につていは素人で、

見よう見まねでやっとトーンが貼れる程度。


ということで、作業スタート。

予想はしてましたけど、

周囲のお客さんからは、かなりジロジロ見られてました。

そのテーブルは、特に「貸し切り」というワケじゃないので、

空いてる席にサラリーマン風のおじさんが座って

食事したりしてます。

チラチラこっちをのぞき見ながら。


ものすごい雰囲気…。

「マジかよ~!」

という気持ちも、数時間が経過するうちに消えました。

 

そのハンバーガーショップでの作業は、

なんと10時間続きました。

ほんと「マジかよ~!!」ですよね。


たしか3日連続で背景を描かせていただいて、

お給料をいただいて終了しました。

3日間ずっと、同じハンバーガーショップでの作業でした。


店員さんは、何も言わず、
普通に日常業務をこなしていました。

 

ワンダーワールド。

すげえな。


というワケで謎の少女漫画家さんだったワケだけど、

彼女の絵の描き方が、異次元でした。

 

下描きが入っている上から、

その絵とは全く違う絵をペン入れしていくというスタイル。

「頭の中、どうなってんの?」って思いました。


下描きも1本のキレイな線でツーーッて引いてあるんだけど、

その上から、ぜんっぜん違う絵、構図もアングルも全然違う
完全に別の絵をキレイな1本線でツーーッって引いていくという…。


全コマというワケじゃなかったので、

ペン入れの段階になって、やっぱ別の絵にしようと思ったんだろうね。

それにしても、すげえデッサン力ですよね。

謎だ…。

 

つづく…

アナログアシ時代の思い出 その13 おわり

--------------------------------------------
流星光ツィッター
https://twitter.com/emphasizeman

流星光ニコニココミュニティ
http://com.nicovideo.jp/community/co1322310

PIXIV
https://www.pixiv.net/member.php?id=369813
--------------------------------------------

漫画家・流星光の個人サイト『タイムマシーン・ジャーナル』

 

 

 

アナログアシ時代の思い出 その12「先生の結婚」


僕の漫画業界の入口となったロイホ先生(仮名)の仕事場のお話。

当時、先生は33歳くらいで、僕は22歳くらいだったと思います。


今回は、

「こんな仕事場、もう嫌だ!」
と思ったキッカケの一つとなった事件について。

 

前にも書いたけど、
先生は、結婚して、静岡に引っ越すことになりました。

 

担当編集者さん同様、僕らアシスタントも、
先のことが不安でした。

「僕らはどうなるんだろう?」

と毎日話し合ってました。

 

ある日、先のことを話し合うために
仕事場近くのファミレスに全員が集められました。

 

そこで何が語られるのか、
僕は、先生が言ってくることを予想して、
予想問題集じゃないけど、
その話し合いの準備をしていました。

 

まず、先生から告げられると予想されること。

1、結婚することになった。
2、静岡に新居を建てて引っ越すことになった。
3、向こうで漫画を描き続けるから、
  継続してアシスタントをやってもらえないだろうか。

 

アシは全員東京住みなので、
その辺、通いなのか、泊まりなのか、
どうするつもりなのか、わかりませんでした。

 

まさか、俺らも静岡に引っ越してくれとまでは言わんだろうな…

とか、頭の中では憶測と不安がぐるぐる回ってる状態でした。


でも、先生がアシの通勤をどうするつもりなのか、
僕には関係なかったのです。

僕は、こう答えるつもりでした。

「辞めさせていただきます」

 


すでに僕は、ロイホ先生の仕事場を辞めたいと思っていたので、

引っ越すと聴いたときに、そろそろ潮時だなと思ったんです。

 

で、話し合い当日

某ファミレス。

先生は、

結婚すること

静岡に新居を建てたので引っ越すことを

僕らに告げました。


さあ、この後、

「アシスタントとしてついて来てくれ」

とお願いしてくるはずだ。

さあ来い!と身構えていると…

 


「な~んにもないところなんだよな~」

ん?


「一番近くのコンビニまで車で10分くらい」

は?


新居周辺の説明…

「東京から新幹線で、3時間くらいだからなあ、
近いよな~」


お?


車を持っていたアゴくんが質問。

「あ、俺、車で高速使って行ってもいっすか?」

「おーいいよーいいよー。高速代だすから」


へ?


「え…、お願いは…?」


僕は、なんかすごく断りづらい雰囲気の中で、

動けなくなってました。

僕は、若かった…!


お願いされてないのに、……断れない…!!


ロイホ先生、伝票をつかみサッと席を立ちました。

それに続くキャップさんとアゴくん。


先生みたいな人を話し合い巧者と呼ぶのだろうか…。


僕は、若く、そして、ダメな男でした!!


けっきょく僕は、

その後10カ月くらいの間、

月に2回、新幹線で静岡まで通うことになったのでした。

もちろん交通費は支給。
行ったら、3泊4日くらい。
駅までは奥さんが車で送迎。
食事は奥さんの手料理。
夜は、ビール飲み放題。
給料も、かなりアップ。


と、待遇はすばらしかったので、
結果オーライ、ま、いっか!

という事でした。


この静岡の仕事場で、

夜、仕事が終わったあと
一人でシコシコ描いていた作品が、
賞金100万円のとある大きな賞

いただくことになるのでした。

 

つづく…


アナログアシ時代の思い出 その12

 

--------------------------------------------
流星光ツィッター
https://twitter.com/emphasizeman

流星光ニコニココミュニティ
http://com.nicovideo.jp/community/co1322310

PIXIV
https://www.pixiv.net/member.php?id=369813
--------------------------------------------

 

漫画家・流星光の個人サイト『タイムマシーン・ジャーナル』

アナログアシ時代の思い出 その11「先生がアシの手伝いをする」

 

僕が最初にアシとして師事したロイホ先生(仮名)のお話です。


以前にも書いたけど、
ロイホ先生、原稿がいつも締め切りぎりぎりでした。

いつも
担当編集者さんが先生のマンションまで原稿を取りに来るんだけど、
担当さんが来ても、まだ原稿できてなくて、
数時間くらい待ってもらうこともザラでした。

 

 

■漫画の原稿の進め方

先生がネームを完成させる。

  ※ネーム=漫画の設計図。
       コマ割りとセリフが簡単な線で書いてるもの。


アシ来る。
先生、キャラの下描き→ペン入れを進めている。

アシは、キャラがいなくてフキダシだけだったり
フキダシすらなくて全部背景!みたいなコマから先に
絵を入れていく。

その間に先生のキャラにペンが入っていく。

ペン入れが終わった先生のキャラの背景をアシが入れていく。

先生のキャラに全部ペンが入る。

あとは、背景&仕上げ作業。

出来上がりを先生がチェックして、
修正や加筆を行って完成! 

となります。

 

ある日のこと、
先生のキャラのペンが最終ページまで全部終わって、
あとはアシが頑張って急いで背景を入れて仕上げをするだけという
段階に入りました。

ダイニングキッチンのテーブルには、
原稿を取りに来た担当編集者さん
時計をチラチラ見ながら貧乏ゆすりしています。


その時、

ロイホ先生、自分の仕事は終わったと思ったのか
徹夜のときのアシが仮眠をとるための寝室に行って、
ドラクエをやり始めたのでした。

当時、ドラクエの時代だったかな?

先生は、担当編集者さんに

「ちょっとだけ、一瞬やっていい?」

と満面の笑みで聴きました。

 

担当さんも、先生がドラクエ

どハマりしてるの知ってたし、
やっぱ人気ナンバーワン漫画家の先生ですから、

強くは言えず…黙認…みたいな。


アシ3人は、

「とにかく急げ~~~~ッ!」

って感じで汗かきながら頑張ってました。

 

20分くらいたった頃でしょうか。

さすがにしびれを切らした担当さんが、

アシ用寝室のドアを開けて

ロイホ先生~、勘弁してくださいよ~」

と一言。


するとロイホ先生がこう発言したのでした。

「しょうがねぇ、手伝ってやるか!」


「え?」


僕の感覚がおかしいのでしょうか。

なんかそれって…違うんじゃないかな…って感じたんです。

僕はその時言いたかった。

「手伝っているのは、こちらの方です!」


この感覚、おかしいんですかね~?


実はね、その数年後、

別の仕事場でも同じことを発言した先生がいたんです。

「アシの仕事、手伝ってやるか」


その時ぼく、言い返してしまいましたけどね。

「いや、逆です。

あなたの原稿を僕らが手伝ってるんですよ」

って。

けっこう…空気が凍りつきましたね…(^□^;)

 


あ…やべ…  って思いました。

 

口は災いのもと。


つづく…

 

アナログアシ時代の思い出 その11 おわり

--------------------------------------------
流星光ツィッター
https://twitter.com/emphasizeman

流星光ニコニココミュニティ
http://com.nicovideo.jp/community/co1322310

PIXIV
https://www.pixiv.net/member.php?id=369813
--------------------------------------------

漫画家・流星光の個人サイト『タイムマシーン・ジャーナル』

アナログアシ時代の思い出 その10「緊張した話」

臨時アシスタントで緊張した時のはなし。

 

臨時で入って、最初に任される背景は緊張します。

速くやらなきゃ。

どのくらいのスピードでやらなきゃいけないんだろ。

どのくらいって!
最速でやるに決まっている!

とか、いろいろ考えを巡らて焦る。

アシスタントにとって、作画スピードは重要だ。

「お、早いねー」

とか言われるとほっとするし、

 

「そんなに丁寧にやらなくていいよー」

 

とか軽く言われたりすると

全身の汗腺から汗がブワッと出る。

「そんなに丁寧にやらなくていいよー」は、

暗に、

「時間かかりすぎ」
って言われてるのと同じだからだ。

 

だから、一番最初にまかされる仕事は、

緊張集中が高まるなかで取りかかる事になります。

 

でもね

そいいう時に限って時間かかったりするんです。

力が入りすぎているからか、

コマ枠の外に青鉛筆で書いてある重要な支持を見落としていたり。

 

20分くらい下描きした後で、

その指示メモに気づいて

ひ~~~~ッ!!ってなって

よけいに汗だくになって、あせってあせって…。


「ほんとはもっと早いんですよ~!
いつもは、こんなじゃないんです~!」

なんて内心で言い訳しながら汗まみれで仕事したり…。


アナログアシは、在宅デジタルとは比べものにならないくらい

嫌な、変な緊張感があるんですよね。

常に先生のご機嫌をうかがってるような。

そうしていなければいけないような雰囲気に呑まれたりして…。

新入社員で、いきなり社長秘書に抜擢された感じ?


そんで、先生が指示を伝えるのがあまり上手くない場合は大変。

声が小さくて聴き取れないとか、

OKなのかどうかがハッキリわからない言い方をする、とか。

 

下描き見せても、

これでペン入れまでやっていいかどうかわからんとか。

「ん!」

とだけ言って原稿を渡される、とか。

 

まあ、その都度、質問して確認するんですけど、

そういう先生にかぎって

すご~く質問しづらい雰囲気を持っていたりするんですよね~。


まあ僕も、人様のことは言えませんけどね。

僕が漫画家になってアシさん雇った時とか、

まさにそういう漫画家だったんじゃないかなと思います。

いま考えると、反省点ばかりです。

 つづく…

 

 アナログアシ時代の思い出 その10 おわり


--------------------------------------------
流星光ツィッター
https://twitter.com/emphasizeman

流星光ニコニココミュニティ
http://com.nicovideo.jp/community/co1322310

PIXIV
https://www.pixiv.net/member.php?id=369813
--------------------------------------------

 

漫画家・流星光の個人サイト『タイムマシーン・ジャーナル』

 

アナログアシ時代の思い出 その9「もれそうになった話」

ロイホ先生(仮名)が骨折している間、

先生の担当編集者さんに紹介してもらったのが、

以前、同じ雑誌に短期集中連載で漫画を描いたことのある

シティ先生(仮名)だった。

 

その日は、シティ先生の初日。

まだ先生にもお会いしたことはなかった。

シティ先生の仕事場のある最寄り駅に到着した僕は、

ひどい下痢に苦しんでいた。

 

僕は、予備校のころから、

アルバイトも含めて、新しい職場に移ると、

決まって高熱を出したり、お腹を下したりする癖があるのだ。

その日も、

「ああ、いつものヤツだ…」

とか思いながら、

「もうヤバイ…、シティ先生の仕事場に到着したら、
失礼ではあるが、速攻でトイレに行かせてもらおう」

と考えていた。


電話では、最寄駅まで、

チーフアシスタントの人が迎えにきてくれるという事だった。

迎えにきてくれたその人は、年齢は僕と同じくらいで、

僕より小柄、猫背で黒ぶちのメガネをかけた関西なまりの強い人だった。

ここでは、マネジさん(仮名)と呼ばせてもらう。

 

挨拶もそこそこに、僕はマネジさんに連れられて仕事場へ向かった。

頭の中は、「ウンコもれそう!」が渦巻いている。

 

早く!早く!

 

僕は、仕事場についてシティ先生に軽くご挨拶してから、

「すみません、トイレに行かせてもらってもいいですか?」
とお願いするつもりで、黙々とマネジさんの後をついていった。

 

ところが、いつまでたってもたどり着かない。

車も通れないような小道を通ったり、

児童公園を突っ切ったり、かなり複雑な道順で、

駅まで帰るときに、

迷わないだろうかと心配になるほどであった。


そんなことよりもウンコである。

もうそろそろ限界が近づいてきた。

いまスナイパーに脳天を撃ち抜かれたら

倒れる前にウンコが肛門から噴出するという状態であった。


突然、いままで無口だったマネジさんが口を開いた。

 

「いや~、ホントは駅のすぐ近くだったんですけどねぇ、

すぐ案内したんでは面白みがないので、

わざといろんなところをぐるぐる遠回りしてみましたぐふふ…」


「コ、コイツ…!!」(-""-;) 

 

僕は、軽い殺意をおぼえたが、

感情を殺しながら

「すいません…さっきから、お腹が痛くて…。
ちょっと早くトイレに行きたいんですが…」

と告げた。

 

さすがにマネジさんは顔色を変えて、

「えっ、あ…すいません。そしたら急ぎましょうね!」

と早足で歩き始めました。

 

それから、

何とかギリギリでシティ先生の仕事場に到着し、

事なきを得たというお話でした。


まあ、何とかなるもんですよね!

なんて…何とか締め切りに間に合った漫画家みたいなセリフですが。

 

つづく…


アナログアシ時代の思い出 その9 おわり

--------------------------------------------
流星光ツィッター
https://twitter.com/emphasizeman

流星光ニコニココミュニティ
http://com.nicovideo.jp/community/co1322310

PIXIV
https://www.pixiv.net/member.php?id=369813
--------------------------------------------

hikaru.m49.coreserver.jp

アナログアシ時代の思い出 その8「臨時ヘルプに行く話」

レギュラーで入ってる仕事以外に

ほかの仕事場へお手伝いに行くこともありました。

 

臨時アシスタントとかヘルプのアシスントとか呼ばれてました。


臨時のお手伝いに行くと、

まず仕事部屋に通されて、

「この机を使ってください」

とか言われて、さっそくお仕事を開始します。


漫画業界って、不思議な業界で、

仕事内容とかお給料とかの話し合いとか、

事前にされることはあまりありませんでした。

昔の話ですけどね。

 

僕がアシスタントを始めた22歳のころ(平成元年)は

そうでした。

最近は、結構きっちりするようになりましたね。

〇〇時~〇〇時まで、休憩〇回、お給料は〇〇円

とか事前にちゃんと決めてくれる先生が多くなりました。

 

昔は、いきなり何も言われないまま12時間くらい仕事して、

終わったら、

「今日はありがとう。助かったよ」

ってお給料をもらうんです。

 

ただ、その瞬間までいくらもらえるか全然わからないんです。

帰りの電車の中で時給計算したら時給440円だったってこともありました。

でも、だいたい一日10,000円~15,000円 と相場は決まっていました。


僕がいただいた最高額は、一日20,000円 でした。

20,000円の先生は、さすがにその人一人だけでしたけどね。


この金額はリーマンショック以前の金額です。

リーマンショックで、漫画業界も少なからず打撃を受けました。

漫画家さんもアシスタントも同じくです。

賃金が、ドーーーーンと下がりましたね。


で、ヘルプアシとして仕事場に入ると、

わからない事だらけで不安でいっぱいになるんです。

まず、書いたように、いくらもらえるのかわからない。

でも、いつもの事なのでそれは良しとしてました。

食事の時間とか、休憩があるのかとか

そもそもいつまでやるのかが分からないんですよね。

漫画の追い込み(※)って、原稿が上がるまで続くんです。

※追い込み
締め切り前のめっちゃ切羽詰まった状態。

 

だから、行ってから12時間で帰れるのか、

16時間くらい続くのかわかりません。

1日で終わるって聴いてたのに27時間仕事し続けたこともあります。

みんな睡眠不足でフラフラの状態でイライラしてて、

すごい空気の中で仕事してましたね。


唯一の救いは、

原稿が上がってホッとして、

先生が笑顔で

「今回は、ありがとう!助かりました!」

って言ってくれたことですね。


どんなに有名な先生でも、ヘルプで手伝いに行った先生は、

僕の顔と名前をしっかり覚えてくれてて、

次に、どこか出版社のパーティーとかで偶然出会ったときに

「いや~、あの時はありがとう!」

って向こうから声をかけてきてくれたりしました。


そうやって、少しずつ業界内で顔が広くなっていきました。

つづく…


アナログアシ時代の思い出 その8 おわり


--------------------------------------------
流星光ツィッター
https://twitter.com/emphasizeman

流星光ニコニココミュニティ
http://com.nicovideo.jp/community/co1322310

PIXIV
https://www.pixiv.net/member.php?id=369813
--------------------------------------------

hikaru.m49.coreserver.jp

アナログアシ時代の思い出 その7「気がつくと古参に」

漫画のお手伝いをする以外にも

アシのやる事はいろいろありました。


現在の僕のお仕事は、

漫画家の先生が漫画を描くのをお手伝いしてお金をいただくことです。

それが、アシスタント

在宅でパソコンを使って描いているので、

「漫画を描く」以外のお仕事は、ほぼありません。


でもアナログアシ時代には、

それ以外にいろいろなことをしなければいけませんでした。

 


日常の食糧の買い出し。

電話番。

先生の引っ越しのお手伝い。

先生とお酒を飲みに行く。

先生が集中するために、ただそこにいる。

などなど…。

 

電話がかかってきたら100%先生にかかってきてるんだから

先生がとればいいのに、と思ったんですが

アシがまず電話を取るって決まってたんです。


アシが電話をとって、

「先生、お電話です」

と取り継ぐんです。

あ、最初の先生 ロイホ先生(仮名)の仕事場の話ですね。

なんか、秘書を雇ってるみたいでカッコよかったんじゃないでしょうか。


先生は、電話に出る時は必ず

「はい、漫画家のロイホです」

と名乗りました。

自分は漫画家である。

漫画を世の中に発信しているのだ、というプライドのあらわれでしょうか。

いつ、どんな相手からかかってきても

「はい、漫画家のロイホです」

と名乗っていました。

 

ロイホ先生は、右腕を骨折したあと引っ越しをしました。

結婚して、新居を購入したとのことでした。

それが、東京ではなく静岡県のとある町だったんです。


別に漫画家を辞めるというワケではないですよ。

連載は継続中です。

渋る担当編集者さん

「ぜったいに原稿は遅れないようにするから!」

と約束して、説得したようでした。

 

引っ越しの荷造りに、アシが招集されました。

その時は、BさんCくんは、もういません。

新しく、僕より年上で雑誌掲載経験もあるキャップさん(仮名)

若いのにスポーツカーを乗り回していたアゴくん(仮名)

新しく加入していました。

 

ロイホ先生は、骨折から復帰して漫画の執筆は始めていましたが、

引っ越しで重い物を持って、またピキッとやってしまってはイカンと

ほとんど何もせず、

荷造りをアシに任せっきりにして、ぶらぶらしていました。


気がつけば、僕が一番古いアシになっていました。

 つづく…

 

 


アナログアシ時代の思い出 その7 おわり

--------------------------------------------
流星光ツィッター
https://twitter.com/emphasizeman

流星光ニコニココミュニティ
http://com.nicovideo.jp/community/co1322310

PIXIV
https://www.pixiv.net/member.php?id=369813
--------------------------------------------

hikaru.m49.coreserver.jp

このサイトについて プライバシーポリシー
Copyright ©流星光