マンガアシの教科書

22歳でアシスタントとして漫画業界入りし、プロ漫画家になったはいいけどヒット作無しで30年経過した男の告白ブログ/Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です

アナログアシ時代の思い出 その7「気がつくと古参に」

漫画のお手伝いをする以外にも

アシのやる事はいろいろありました。


現在の僕のお仕事は、

漫画家の先生が漫画を描くのをお手伝いしてお金をいただくことです。

それが、アシスタント

在宅でパソコンを使って描いているので、

「漫画を描く」以外のお仕事は、ほぼありません。


でもアナログアシ時代には、

それ以外にいろいろなことをしなければいけませんでした。

 


日常の食糧の買い出し。

電話番。

先生の引っ越しのお手伝い。

先生とお酒を飲みに行く。

先生が集中するために、ただそこにいる。

などなど…。

 

電話がかかってきたら100%先生にかかってきてるんだから

先生がとればいいのに、と思ったんですが

アシがまず電話を取るって決まってたんです。


アシが電話をとって、

「先生、お電話です」

と取り継ぐんです。

あ、最初の先生 ロイホ先生(仮名)の仕事場の話ですね。

なんか、秘書を雇ってるみたいでカッコよかったんじゃないでしょうか。


先生は、電話に出る時は必ず

「はい、漫画家のロイホです」

と名乗りました。

自分は漫画家である。

漫画を世の中に発信しているのだ、というプライドのあらわれでしょうか。

いつ、どんな相手からかかってきても

「はい、漫画家のロイホです」

と名乗っていました。

 

ロイホ先生は、右腕を骨折したあと引っ越しをしました。

結婚して、新居を購入したとのことでした。

それが、東京ではなく静岡県のとある町だったんです。


別に漫画家を辞めるというワケではないですよ。

連載は継続中です。

渋る担当編集者さん

「ぜったいに原稿は遅れないようにするから!」

と約束して、説得したようでした。

 

引っ越しの荷造りに、アシが招集されました。

その時は、BさんCくんは、もういません。

新しく、僕より年上で雑誌掲載経験もあるキャップさん(仮名)

若いのにスポーツカーを乗り回していたアゴくん(仮名)

新しく加入していました。

 

ロイホ先生は、骨折から復帰して漫画の執筆は始めていましたが、

引っ越しで重い物を持って、またピキッとやってしまってはイカンと

ほとんど何もせず、

荷造りをアシに任せっきりにして、ぶらぶらしていました。


気がつけば、僕が一番古いアシになっていました。

 つづく…

 

 


アナログアシ時代の思い出 その7 おわり

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アナログアシ時代の思い出 その6「先生が骨折した話」


僕が初めてアシスタントをしたロイホ先生(仮名)骨折しました。

利き腕の右腕上腕です。

 

経緯を説明します。


先生は、健康のためか何のためかわからないけど、

気功の道場に通い始めました。


気功のおかげでタバコをやめることが出来たこともあって、

熱心に通っていたようでした。

で、ある日、

道場のレクリエーション大会で腕相撲をしたら

 

ピキッと、

右上腕の骨が、折れてしまったようです。


日ごろのカルシウム不足と運動不足でしょうか。


想像するだけで怖いです。


それ以来、僕は、ぜったい右で腕相撲はしないようにしてます。


で、先生が骨折して漫画が描けなくなったので、

雑誌の連載はお休みになりました。

 

当時、アシスタントは僕を含めて3人。

一度デビューして連載経験もある僕より年上のBさんと、

僕のあとに入ってきた関西出身の漫画家志望Cくんです。


急に仕事がなくなって、

どうなるのかな~と思っていたら、


「しばらく仕事はお休みです」

と言われました。

以上。

 

え?


仕事ないの?

お給料は?

 


給料もなしです。

 

なんか…

急に放り出された形になりました。

 

初めてのことだったので、

僕は、どうしていいかわかりませんでした。


Bさんは、知り合いのつてを頼って

アシスタントさせてもらって収入を確保しました。

さすがです。

 

Cくんは、え~と…正直、印象が薄くて記憶もあんまりないんだけど、

たぶん、実家に帰っていたんじゃないかと思います。

関西の方で商売をしている結構大きな家らしかったので。


で、僕はというと、担当編集者さんが紹介してくれた

ロイホ先生(仮名)と同じ雑誌に連載していた逆ヒゲ先生(仮名)のところに

臨時で手伝いに行ったりしました。

でも臨時ですから、継続的な収入にはつながりません。

自分でもその期間、何してたのか記憶がありません。

ほかにも数人の漫画家さんを手伝わせていただいたのをおぼえています。


それが、僕の、ヘルプアシスタントの歴史の第一歩かと思うと

感慨深いですね。

当時は、こんなに生涯にわたってアシスタントをする事になるとは

夢にも思いませんでした。

 


で、まあ、単純な骨折でしたからね。

一か月くらいで治るのかな~と思って待ってたら、

3週間後くらいに電話がかかってきて、

「ゴメン、また折った」


へ?

 

先生、退院して病院の前でタクシーに乗り込むときに、

右腕で全体重を支えようとして…、

また、ピキッ と。

 


そのまま病院へ逆戻り。

 

けっきょく、次のお仕事が始まったのは、

3か月後でした。

 

途中、アシスタント3人で、先生のお見舞いに行った時に、

一人3万円ずつ包んでくれました。

「今回の件では、申し訳なかった。
これに懲りず、仕事場が再稼働するときは
また手伝ってほしい」

と。

 

 

そして、3か月後…


仕事場に行ったら、BさんCくんは辞めていました。


つづく…

 

アナログアシ時代の思い出 その6 おわり

 

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漫画アシスタントというお仕事 その6「スタイルいろいろ」

僕がお手伝いさせていただいてる漫画家さんは、

当たり前だけど全員デジタルで漫画を描いてらっしゃいます。


デジタルって一言でいっても
いろんなやり方あるんですけど、
共通してるのは、
コミックスタジオ か クリップスタジオ

どっちかのソフトを使っているということ。

なんでかっちゅーと、

僕のPCには、コミスタとクリスタしか入ってないので、

それ以外のソフトで作業しろて言われても出来ないんです。


それでも、やり方は十人十色。

ページのレイヤー構成もいろいろです。


例をあげると、

本当にシンプルで、新しいページファイルを作って、

そこに写真をペッと貼りつけて、

「これをトレースしてください」

という単純な支持もあれば、


めっちゃたくさんのレイヤーがあって、

初見では、何がどうなってるのかわからないくらい複雑な

ページファイルを送ってくる先生もいます。


「線画はすべてベクターでお願いします」

という人もいるし、

「線画は、全部ラスターにして送り返してください」

という人もいます。

「トーンは70線でお願いします」

という人がいたり。

ま、デジタルなので、
間違って60線でやっちゃったとしても
すぐ直せるんですけどね。

そういうのがデジタルの強み。


「流星さんは、アナログの線の方がいいので、
アナログでペン入れしたものをスキャンして取り込んで
仕上げだけコミスタでやってください」

という指示もありました。

それは、かなり面倒な作業でしたね。

その先生とは長いおつき合いですが、

現在は、クリスタのリアルGペンというペンがあるので、

それでやるようにしてます。

実際、アナログで紙にペン入れしたのをスキャンすると、

線がぼそぼそすぎて、結局デジタルで線を整えたりしなければならなくて

二度手間になってしまうんです。

面倒だな~と思っていた矢先に、

セルシスさんがクリスタにリアルGペン追加してくれたので

助かりました。

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外出が多い先生もいます。

午前10時に、

「今日は、このページの背景をお願いします。
それで、今日は一日家におりませんので
何かありましたら連絡はLINEでお願いします」

という指示がきて、

下描きチェックは、JPEG画像にしてLINEで送ります。

「午後10時になったら勝手におわってください」

という感じで、放置プレイのような先生ですね。

こちらとしては、自由でいいんですけど。

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食事休憩とかも、スタイルはいろいろ。

こっちから

「食事休憩いただきます」

ってスカイプチャットで送って、

食事から戻ったら、

「ただいま戻りました。作業を再開します」

っていちいち宣言しなければならない仕事もあるし、

「いつ、どれだけ休憩とってもらっても構いません。
いちいち連絡は不要です」

って言われる先生もいます。

 

本当にいろいろですね~面白いです! (^_^) 

 

という感じで、思いつくまま書かせていただきました。

 

 


とにかくどんな先生のアシでも、

やる事をやっていれば、何とかなるっつーか…。

仕事をちゃんとしていれば、

継続して雇っていただけるということですね。


ひと月に、何人もの先生のアシをやると、

いちいち作業スタイルが違うので、

そういうのにストレス感じる人は、

専属アシスタントという仕事形態もあります。

一人の先生のアシスタントをずっとやるっていうね。

 

ひょっとしたら、

僕みたいな臨時アシ専門の人の方が

珍しいのかもしれませんね~。

 

以上。

長々と読んでいただいて、ありがとうございました!

 

漫画アシスタントというお仕事 その6 おわり

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アナログアシ時代の思い出 その5「インクこぼした話」

漫画のアシスタントの失敗といえば、

よくあるのが、机の上でインク瓶を倒してしまって、

原稿の上にインクをドバーとぶちまけてしまうというやつだ。


最近は、デジタル作業が多くなったので、

そんな心配はまったくないんだけど想像してみてほしい


プロの漫画家の先生が途中まで絵を入れた原稿に

インクをぶちまけて台無しにしてしまう事を。


どうですか、想像しただけで気絶しそうになるでしょう。


わかりやすいように一般の会社だと

どのくらいの失敗であるか例えてみましょう。


例えば、会社の命運をにぎるほどの大口の取引先の社長

「ちょっと近くまで来たので寄ってみました」

と来訪し、応接室へ通されたとします。

 

そこへあなたがお盆にお茶を乗せて持って行き、

「粗茶でございます」

とお茶をテーブルに置こうとしたときに手ががくぶると震えて

熱いお茶を社長さんの左肩から腰くらいまでぶちまけてしまって、

「あちちちち!おい何をするんだ!」

と怒ってる社長を見ると、

左半身がどうやら溶けてしまっているぞ。

よく見たら自分がお茶だと思ってもってきた液体は、

濃硫酸であったとさ。

これは大事件。

 

くらい大変な失敗なのである。

 

僕も、

そんな失敗をしないよう慎重に作業を進めておったのですが、

慣れというのは怖いもので、

新人アシスタントも数カ月たつと緊張感も消え、

時間もない急げ急げ締め切りギリギリだぞと

急かされる状況下において、

僕はついにやってしまったのでした。


指先がパイロットの製図用インクの瓶にひっかかり、

瓶がカタリと横倒しになり、

中の真っ黒なインクが机の上をつーと滑り、

原稿へ向かって一直線。

狭い机の上ですから、

インク瓶から原稿までの距離は5センチほど。


一瞬の出来事で僕は身動きもできず。

しかし僕の体内では急激に血液が脳内へとなだれ込み、

一種のキゼツ状態

頭の中が真っ白状態へと突入したのでした。


気力をふりしぼって、素早く原稿を取り上げてみると、

なんと、机の上の原稿は、端っこが反りかえっていたため、

インクがすべて原稿の裏側へ吸い込まれておりました。

 

なので原稿の裏側は、イラストのように汚れてしまったのですが、

先生の絵が描かれた表側には被害はなく、なんとか…


なんっとか…事なきを得たのでした。

f:id:hikaru_n:20180929094703j:plain


いちおう先生に言いましたが、

原稿表面には被害はなかったということで、


「これからは気をつけるように」


と言われただけで済みました。


それからは、

インクは原稿と同じ地平に置いてはならぬ

というのがお約束となりましたとさ。

 つづく…

 


アナログアシ時代の思い出 その5 おわり

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アナログアシ時代の思い出 その4

 

僕が最初にお手伝いしたロイホ先生(仮名)のお話。


ロイホ先生は、雑誌の中で、人気ナンバーワンだったんだけど、

原稿が遅いので有名でした。

いつも締め切りギリギリになっていました。

原稿を取りに来る担当編集者さんは、
会社にもどってからやる作業を
少しでも早くやるために、
ダイニングキッチンのテーブルで、
空いている原稿に写植を貼る作業をしていました。

※写植というのは、
フキダシの中の文字のことです。
いまはデジタルでカタカタッと打って終わりですが、
昔は、「写植屋さん」にフキダシの中の文字を発注して、
打ってもらって、印刷されたものをハサミで
フキダシの中にぴったり入るように切って
ボンドで貼りつけていたのです。


僕よりあとに入ってきたプロ経験もあるアシさんが
なぜ遅いか分析していました。

 

ロイホ先生が遅い理由は、
まず人物のペン入れが1本の線でズバッと引くのではなく
2本以上の線を重ねるように引くこと。

部分によっては、僕も、そういう線を引きますが、
1本でズバッと引くときは引きます。

ロイホ先生の絵は、ほとんどすべての線において、

「シャッ、シャッ、シャッ」

と2~3本以上の線で引いていたので遅いのです。


でも、それが絵柄に反映されていて、いい絵だったんですけどね。

(フォロー)( ̄▽ ̄;) 

 

あと、ロイホ先生の漫画は、

1コマの中に2人~3人の人物がいることが多いのです。

アップのコマもあるのですが、

他の漫画家の先生に比べると、

引きのカメラで、数人が同時にいる絵を描くケースが多かったように思います。

とうぜん描くのに時間がかかります

 

で、先生があみだした時間短縮の方法がコピペでありました。


先生は、

同じキャラが同じポーズをとっている絵を

執筆中の作品の過去の単行本から探し出して、

「3巻 p121 4コマ目 の幸子 80%」

というふうに原稿のコマの外に指示を書きます。


それを見たアシは、

該当する単行本を持って、チャリでスーパーマーケットまで走ります。

当時、ロイホ先生の仕事場には、まだコピー機が導入されていませんでした。

コピーをとるには、近所のスーパーマーケットに走るしかなかったのです。


で、幸子を80%でコピーして戻ってきて、

カッターで表情だけくり抜いて、

表情以外をコマ内に貼りつけるんです。


あとは先生が表情を描き入れるだけで完成!というわけ。


だけど、過去の単行本から探すのも先生自身ですからね。

その時間を考えると…

描いた方が速いんじゃね?という意見も…


まあ、どっちもどっちですかね~。

とにかく先生は、絵を描くの面倒だったんでしょうね~。

 


僕が初めてロイホ先生の仕事場に来た時、

先輩アシさんの机の上の、透明ビニールシートの下に、

くり抜いた表情だけが、戦利品のように挟まれていました。

この画像みたいな感じですね。

f:id:hikaru_n:20180928114438j:plain


はじめて見た時は気味悪かったです。

 

何コレ!?気持ちわりぃ!!って。

 

でも結局、僕も同じように表情だけを挟むようになってしまいました。


つづく…

 

アナログアシ時代の思い出 その4 おわり

 

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アナログアシ時代の思い出 その3「食べ過ぎに注意」


僕が最初に働いた仕事場は、

ロイホ先生(仮名)が住む、3LDKのマンションでした。

 

いちばん大きな部屋が仕事部屋で、
先生の仕事机が一つと
アシスタント用の事務机が3つ
横並びにぴったりくっつけて配置されていました。


食事は、大きな炊飯器にごはんを炊いて保温しておき、
それぞれ腹が減ったら、好きな時に
「メシ行ってきます」

と宣言して勝手にメシを食うというシステムでした。

 

食事の時間は決められておらず、

腹が減ったら、それぞればらばらに食事をとるというスタイルでした。

おかずは、近所のスーパーマーケット
一番下っ端のアシスタントが、
レトルトのものとか
メンチカツチキンカツ天ぷらなどをまとめて買ってきて、
食べる時に、レンジでチンして食べる方式でした。


僕が、その職場に新人として入ったときは、

とうぜん僕が一番の下っ端でしたから、
僕が、お惣菜を買いに行きました。

先生に

「お惣菜買ってきて」

と言われた僕は、
お惣菜という言葉の意味がわからず、
っていうか、知ってたんですけど、
おかず全般のことだと思ってなくて
お漬物とか、おひたしとか、豆腐とか、
とにかく、メインのおかずじゃなくて
添え物的な、ちょっとした物だと思ってしまいました。

 

当時ぼくは21歳。

何も知らない若造だったのです。

 

で、そういうのばっかり買って戻ってくると、

「こんなんでメシが食えるか!
食生活が貧しい奴は人間性を疑われるんだぞ!」

と先生に叱られたのを覚えています。

すぐ、買い直しにスーパーマーケットへチャリを飛ばしました。

 

食事の時間が決まっておらず、自由だったため、

食欲に勝てなかった僕は、

食事と食事の間隔がどんどん短くなっていきました。

5時間ごとにごはんを食べる感じになって、

そのつど、メンチカツ2個乗せカレー大盛とか食べていたので
体重は、どんどん増えていったのでした。

 

食べても食べても、すぐ空腹感を感じるようになり、

デブの地獄スパイラルに陥ってしまったようでした。

 つづく…


アナログアシ時代の思い出 その3 おわり

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アナログアシ時代の思い出 その2「修行時代」

 

僕が初めてレギュラーアシとして入った仕事場は、

某中堅雑誌の人気ナンバーワンの先生のところでした。

最初は、カケアミと呼ばれる線を重ねてグレーっぽい効果を生み出す

練習から始めました。

こんなのです。

f:id:hikaru_n:20180926200857j:plain

慣れてくると、こんな感じになります。

f:id:hikaru_n:20180926200900j:plain

 

毎日まいにち、先生のOKが出るまで、

仕事に行っては、自分の机でずっと練習ばっかりしてました。

あとは、おかずスクリーントーンの買い出しが

僕のおもな仕事でした。


やっとOKが出て、

先生の原稿にカケアミを描くことが出来た時は、

死ぬほど緊張しました。

確か最初は、女子高生のセーラー服だったと思います。

 

       ×         ×        ×


3ヵ月ほど続けていると、

以前、その仕事場で働いていて、

プロ漫画家としてデビューして

連載も持っていたというBさんという人が

また舞い戻ってきました。


僕は、Bさんの隣で、

Bさんの技術を真似して頑張ってました。

         ×         ×        ×

ひとつの話の原稿28ページの作業が、

だんだん終わりに近づいてきて、

抜けやり忘れを先生がチェックする段階にくると

僕の緊張は、MAXになりました。


担当編集者さんは、

貧乏ゆすりしながらキッチンのテーブルで待っています。

 

先生は、

漏れがある原稿を無言で渡してきます。

僕らは、その原稿のどこに漏れがあるか

必死で探して、修正します。

 

ほぼ、ホワイトのやり忘れなんですが、

ホワイト漏れを見逃して先生に渡すと、

突き返されます。

「俺に3回同じこと言わせんなよー」

先生が、野太い抑揚のない声でそう言うと

ピリピリした空気がさらに凍りつきます。


Bさんの作業は、

そんな場面でもきっちり正確でした。

そして、必要最小限の部分しかやらないので、

スピードも速かったです。


僕は、ホワイト漏れ以外にも

何かひっかかるものがあれば、ベタ仕上げの部分など

必要のない部分まで修正していたので、

時間がかかりました。

先生から

「おい、流星くんの時給、Bくんにくらべて高いなー」

「すんげえ高いぞーワハハ」

と嫌みを言ってきます。


口下手だった僕は、

無言で作業をつづけながら、

「ひ~!すいません!」

と背中で謝り、必死で修正作業をしてました。


今ではいい思い出。

そういう体験があって、アシとしても成長できたんだと思います。


以上です。

長文、読んでいただて、
ありがとうございました!(≧ω≦)b 


アナログアシ時代の思い出 その2 おわり

 

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